大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)3252号 判決
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〔判決理由〕第五、争点に対する判断
一、被告の過失について
本件事故は、原告が左後方を進行して来ている事故車の存在に気付かないまま、交差点を左折すべく左方道路の道幅の狭い関係もあつて大廻りに、つまり予めできるだけ道路の左端に寄せることをせず、その後方を毎時約六〇キロメートルの速度で進行中の事故車の進路前方約二〇メートル附近で速度を毎時三〇キロメートル以下に減速して左に転進したところ、被告において発見したが、かかる場合、自動車運転者としては、直ちに急制動を施すは無論のこと(急制動によるブレーキ痕は右側約九メートル、左側約8.5メートル存した)、それに先立ち、常に前方車両の動静に意を用い、警音器を強く吹鳴させて、原告に対し事故車の後続と、衝突の危険の警告を発することが、事故車の車種、速度、道路状況からして危険な結果を回避する上から要求される安全な運転のための注意義務といわざるを得ない。しかるに、被告が右警音器の吹鳴をなさなかつたので、衝突に至るまで原告において事故車に気付かず、左折態勢を変えなかつたため、本件事故に至つたものである。されば、本件事故の要因が、原告の左折方法に誤りがあつた点に存することは明瞭ではあるけれども被告の安全運転義務に違反した過失もその原因の一つを形成しているものといわなければならない。
三、過失相殺
前に認定したとおり、本件事故は被告の過失も寄与しているものであるから、民法七二二条により右損害額(但し慰藉料、弁護士費用を除く)からその六〇パーセントを減額する。その結果、原告の損害は一五八万四、六〇一円となる。
(菅納一郎)